少し鮮度が薄くなってしまったニュースですが、、、
産経新聞の元旦1面2面に掲載されていたニュースが今も鮮明に記憶されています。
兵庫県神戸市中央区を本拠とする子供服メーカーの「キムラタン」は14年連続の赤字に苦しんでいた。神戸ブランドと呼ばれるほどの洗練されたデザインは、今も人気はあるが経営状況は年々厳しさを増すばかりだった。多店舗、多角化で再建を目指したが、昨秋に方向転換して店舗閉鎖と百貨店からの全面撤退などを決め、浅川岳彦社長(44)は「良い商品を作ることに全力を注ぎ、メーカーとしての存在意義を取り戻す」と再起を誓う。
と、ここまでは崖っぷちのストーリーとしてよく見聞き話だった。
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昨年12月上旬のこと、3年前に発行した社債2億8000万円の償還期限が12月22日に迫っているというのに、金融危機の影響でさてにしていたスポンサーから資金が払い込まれなかった。今更、新しい支援者は見つからず、敏感な市場は直ぐさま反応し株価は1円まで下落し、民事再生法の適用申請に追い込まれる恐れもあった。
だが浅川社長は諦めなかった。全額の償還は無理としてもそれに近い金額を償還すれば期限の延長に応じてくれるのではないか。。。
12月10日、会社近くの倉庫に正社員52人を集め頭を下げた。「1000円でも1万円でも良い。オレに力を貸して欲しい」役員8人が5000万円を出すことは決まっていたが、1人でも多く従業員の協力が必要だった。とは言え、この冬のボーナス支給額は例年の6割。 無理は言えなかった。
5日後、資金の貸し出しに同意した社員の名簿を見て浅川社長は驚いた。
そこには社員全員の名前が載っていた。リストを見ていた浅川社長の目から涙が出てきた。
労組も併せて従業員から2100万円の資金が集まった事になる。
結果、キムラタンはこの危機を乗り切り株価は一時5円まで回復し、新生キムラタンとしての歩みを進める事となる。
後日、浅川社長のコメント_。
「会社は従業員の生活を支えているが、会社も従業員に支えられている。この関係が崩れたら企業はおかしくなる。従業員はなけなしのお金を出してくれた。今度はこっちがその思いに報わなければ。」
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浪花節とも取られかねない話だが、経営者と従業員に共通する想い『会社愛』を見た_。
企画営業部 川内