TCシンポジウム2011所感:マグナムKENJI

今回、記事を書かせていただきます岩見です。

今月5日〜7日の3日間で京都リサーチパークにてTCシンポジウムが開催されていました。

今回のTCシンポジウムに参加させていただいたので、参加した感想、講義を受けた内容などについて記事を書こうと思います。

まず、TCシンポジウムを簡単に説明すると、TC分野または関連分野の業務に携わる方々の交流出来る場であり、メーカー、制作会社など多くの企業の成果、取り組みのセッションを受けることができます。

また、本年のマニュアルオブザイヤーに選ばれた取扱説明書が展示されています。

今回のTCシンポジウムの議題は「見た目のチカラ」

取扱説明書を見て、すべてのユーザーにとって本当に見やすい説明書になっているのか、そのために必要なことはなんなのか、制作側と使用側の認識の違いはないのか、より良い取扱説明書を制作するための工夫、レイアウト、デザイン、知識、ユーザー視点での考え方など、大変勉強になった3日間でした。

多くの講義を受けたのですが、今回は私自身が業務に携わったことのあるXVLの講義

「軽量3DのXVLで効率的にイラスト作成」について書かせていただきます。

ここに3つのイラストがあります。

 

???? はXVLから画像として変換したものです。

???? はXVLから線画に変換したものです。

???? は?をトレースしたものです。

 

?は、主に取扱説明書の表紙、カタログなど一般向けユーザーに使用します。カラーで表示しているので見ため的には一番見やすいイラストかもしれませんが、印刷コスト面がモノクロのものと違ってきます。

?は、主にパーツカタログなど専門的な取扱説明書に使用し、3Dデータを線画にしているので、トレースしたものとは制作時間の短縮ができ、コストもより大幅にダウン出来ますが、線が多く、一般向けユーザー向けとは言えません。

?は、テクニカルイラストとして取扱説明書に使用し、人の手で作業していますので、見ため的に見やすいように加工されており、?と比べるとより部品の形状が見やすくなっていますが、作業時間が大幅にかかってしまいます。

従来の3Dデータからの加工は主に上記の3タイプにわかれますが、XVLは自動でいる線を省略し、線画にすることが可能です。

ここで、なぜ3Dデータから線画に変更するとトレースしたものより線が多くなるのでしょうか。ご存じの方も多いと思いますが、3Dデータを線画にする際、表面の曲面部分を線で計算して変換をするため、曲面の初点と、終点に線が入ります。

赤線が本来部品のハイライト線として表示しますが、3Dデータからの書き出しでは、ハイライト線が表示されません。

XVLでは、線画に変換する際、なるべく曲面での線を省略することができ、必要な線だけを残すことができるので、効率的にイラストが作成できます。更に、今月発売する最新のXVLでは、曲面の計算機能を高めることで、より精度の高いイラストが作成可能です。

まだまだ、多くの機能があるXVLですが、簡単に説明させていただきました。

今後、テクニカルイラスト産業は今まで以上に3Dデータからの作業が増えくると思います。

3Dデータから線画の変換は、部品の形状を正確に表現出来ますが、イラストにはある程度仕様が決まっていて、イラストサイズ、線幅など仕様の中でどれだけわかりやすくイラストに出来るかの技術も必要です。

人の手作業では、部品を完璧にトレースすることは難しいかもしれませんが、決められた仕様の中で、出力時のことを考えて部品の簡略化、線の省略など加工、工夫して描くことができます。その加工や、工夫は多くの3DソフトやXVLでもまだ出来ません。

コスト面だけを考えて3Dを活用するのではなく、両方の良いところを組み合わせ、及第点を補うことで作業効率が図れ、効率的なイラストが作成できるのではないでしょうか。

XVLでも、まだ人の作業したイラストレベルに達していない点もあると思いますが、ある程度3Dから線の省略を可能にしたXVLは今後も注目の必要があるのではないしょうか。

 

今回はXVL作業についてお話をしましたが、すべての取扱説明書にはユーザーが居て、使用する側も十人十色です。

専門知識を持っている方、その商品を全く触ったこと、知識がない人、文字を見ることが困難な方など自分がわかりやすいと思っても、使用する側には違うこともあります。

一般ユーザー向けならなおさらですが、どれか一つ抜け出た取扱説明書でもダメです。

誰が見ても、納得し、満足する工夫が必要です。改めて、取扱説明書の難しさを痛感しました。この3日間で得た経験、知識、考え方を今後の作業に生かしていきたいと思います。

 

2011年10月17日
製作部  マグナムKENJI こと 岩見憲二

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