台風一過晴れ渡る京都にてTCシンポジウム2009京都が開催されました。
この度はパネルディスカッションのパネラーとして参加しました。
テーマは『メーカーと制作会社を結ぶTCの力』です。
パネリストの皆さんは、
マツダエース株式会社(マツダ(株)の100%子会社)
→資本金4億8千万 従業員1092名
シャープエンジニアリング株式会社(シャープ(株)の100%子会社)
→資本金3億8,900万 従業員1000名
株式会社テックコミュニケーションズ(大日本スクリーン製造(株)の100%子会社)
→資本金5000万 従業員114名
株式会社テクノアート(唯一の独立系制作会社)
→資本金1000万 従業員30名
3か月ほど前の事、テックコミュニケーションズの西村氏からパネリストとしての
参加要請が有り、「はいはい〜良いですよ〜」みたいな感じで安請け合い
した事を失敗だったかなと感じたのは、満員の会場で上記メンバーと席を
同じくし、マイクを渡された瞬間でした。
そもそもシンポジウムに参加する人というのは、何かを得ようとして
貴重な時間を調整しているわけですから、前向き人間ばかりだと思うのです。
メーカーと制作会社を結ぶ? どれ程の事をやってるのかな?お手並み拝見
という方もいらっしゃるでしょうし、今抱えている問題を解決する糸口を探しに
来られている方もいらっしゃるでしょう。そういった方たちへ私がお伝えしようと
している事がプラスになるだろうか、、、
アンケートでダメ出し食らってコーディネーターの西村氏にご迷惑をお掛けし
ないだろうか、、
ネガティブな思考の時ほど声に張りが無くなるものだと実感した。
前半は会社案内と改善事例の紹介だけだったのだが、イマイチ乗り切れない
自分に焦りと苛立ちを感じた。
そんな時、助け船が現れた。
「川内さん、姿勢悪いですよ!」そう言ってくれたのはクレステック大阪事業所の
山口氏だった。 こう言う時の声掛けは心に響く。(午後イチのキャッチにも使わせて
頂きました)
他にも螢印刷の白井氏も来場し、開始前に声をかけてくれていた。
遠く福岡からはマックプロダクツの久保田氏がシンポジウムに初参加されていて
アイコンタクトでエールをくれた。落ち着いて会場を見ると、知った顔が目に入る。
ピップフジモトの川本氏もお久しぶりの再会だった。
有りがたい事だなぁ・・・何となく自分の中の歯車が噛み合った気がした。
後半はマイクを握る機会を頂き、今回のディスカッションで一番伝えたかった
『テクニカルイラストレーター・テクニカルライターに求められる能力・要素』について
持論を展開する事が出来た。
今回、事前にアンケート調査を行っていたのだが、テクニカルイラストレータに
求める能力は?とういうQに一番多かったAが、表現力、スピード、正確さ、だった。
内心「かかったな」と言う感じだった。持論を押し付けるわけでもないし、正解だ
なんて恐れ多い。しかし、こう有るべきなんじゃないか、という拘りが有る。
『読み手目線を持つ』と『商品知識の習得』だ。
TCに求められている、製品の取扱い・施工・サービス情報を分かりやすく伝える
という意味では最重要と思われるのが先の2点であると思う。
依頼された通りに正しく早く美しく表現する事は、プロのテクニカルイラストレーター
で有れば出来て当たり前である。 しかし、本当の意味で正確・安全な操作・サービス
等の情報を伝えるためには、現場に則したマニュアルで無ければならず、
その為にはライターもイラストレーターも読み手の目線になる必要が有る。
即ち、ユーザー目線、メカニック目線、サービスマン目線と言うことである。
写真の通りにトレースする人は沢山いる。例え写真が間違っていても、角度が
不適切で有っても、写真の通りにトレースする人をテクニカルイラストレーター
とは言わない。“トレーサー” そう、トレーサーと呼ぶ。 現場に則さない、
目線を意識しない写真を撮影し、作図指示をする人をテクニカルライターとは
呼ばずに、ライターと呼ぶのと同じだ。
サービスマニュアルにおいてはメカニックやサービスマンの目線、そして商品知識を
持つ事こそ最重要な事である。これこそが技術と考える。
図面が読めて、ソフトウェアが自在に操れ、正しく早く表現する事が出来るのは
経験を積めば身につく事も有れば、専門学校の授業で習得済みと考える。
『目線』と『知識』は意識しなければそこに目が向かない。興味を持たなければ
今までと変わらないイラストを描くだけだ。
使う側の目線を意識したドキュメント作り、これこそがTCの醍醐味ではないだろうか。
随分駆け足だったが、持ち分を終えてホッと一息つくと、名刺を手にしたチャーミングな
女性が私の目の前に現われました。 実はプログラムが始まる少し前から着席されて
いた方で、何となく見覚えのある御顔でしたが名前もはっきり思い出せないでいたのです。
私は慌てて自分の名刺を取りだして交換に応じた時、目に入った名前を見て
『あ、高橋さんだ』と分かりました。 氏のブログ「高橋慈子コミュニケーション&ライティング
ブログ」の読者である私は毎日Googleリーダーでブログ更新をチェックしています。
先日購入した「日本語スタイルガイド」の原稿を一部執筆されているし、ご自身で本も
出版されています。 いざ目の前に現れると満足に話も出来ませんでしたが、感じ良く
挨拶を交わし、私は追い出されるようにして会場を出ました。
会場を出ると制作担当の方でしょうか、「質問が有るのですが・・・」と声をかけてく
ださいました。 質問はこうでした。「3DCADデータや資料をスムーズ且つ速やかに
入手するためのコミュニケーションはどのように作っているのですか?」 ご自身が
常日頃設計部門との連携に困っておられるのでしょうね。この辺りはプログラム後半で
私たちパネリストと聴講者の皆さんでディスカッションする予定でしたが、全体的に
時間が押してしまい、最後の質疑応答の時間も取る事が出来ませんでしたので、
大変申し訳なく思っています。 聴講される方々が個々に抱える問題が違えば、
重要度も違う、モノの見方も違います。 それら全ての問題をクリアーにするプログラム
などは現実問題として難しいですし、今回のディスカッションの目的も答えを導く
ものでは有りませんでした。 でもこう言った事が分かったのは次回に繋がると
思っています。 あ、また自分を追い込むことを口にしてしまった(大汗)
2009年10月10日
企画営業部 川内カツシ